ユーザーオンボーディングとは、ウェブアプリやモバイルアプリの設計における新しい要素であり、顧客が製品をスムーズ且つ簡単に導入する為の試みです。ユーザーがデジタル製品にアクセスした瞬間から、デジタル製品に完全に魅了され、それが自分の生活にどれほど有益且つ必要であるかを理解するまで続く、ブランドとの最初の体験ともいえます。
ユーザーオンボーディングの最終目標は多岐にわたります。顧客に製品の使い方を教えることは勿論、それらを刺激的且つ目立たない方法で行うことも含まれます。さらに重要なのは、ユーザーオンボーディングを成功させることです。ユーザーが製品のコアバリューを理解する為に必要な時間を短縮し、今後も製品を継続的に使用できるよう誘導します。
人々は、あなたの製品が面白みに欠け使いにくいと思うよりも、製品に熱心になるべきです。前者の場合、人々はあなたの製品から離れて行きます。後者の場合、彼らを満足させて長期的な顧客に変換できます。ユーザーオンボーディングは、最高の第一印象を与えるだけではなく、デジタル企業が見逃してはならない成長技術なのです。
それでは、ユーザーオンボーディングを真にインパクトのあるものにする方法を以下でご紹介いたします。
試用期間の開始を待たずに、成功率の測定を開始しましょう。代わりに、事前にメトリクスを設定してください。測定で得た結果は、100人目のユーザーに到達するより遥か前に、オンボーディングプロセスを改善するのに役立ちます。
ユーザーオンボーディングの全体的な目的は、物事を発見する際に要する時間を短縮することです。そうして初めて、ユーザーは製品の全体的な価値を把握し、時間と費用を投資する価値があると判断します。この瞬間は、最初のコンバージョンポイントとしてマークできます。
勿論、この段階に到達するには、あなたの製品を使用することの真のメリットをユーザーに実感してもらう必要があります。たとえば、タスクマネージャーアプリについて話している場合は、最初のコンバージョンポイントに到達したユーザーが最初のタスクを無事に完了し、applicationの助けを借りて目標を達成できたという充実感を得られた時に、ユーザーは製品の価値を実感します。更に、ちょっとしたおまけでユーザーを喜ばせるという手もあります。
MailChimpの例を見てみましょう。ユーザーがアプリを使用して最初のメールを送信すると、すぐに署名のチンパンジーが画面からハイタッチします。これは、感謝を表す些細な手段ですが、ユーザーを最初のコンバージョンポイントへと後押しする公式且つ重要な経験です。
分厚く退屈なチュートリアルを読みたがるユーザーはいません。彼らの望みは、製品を利用することで得られるメリットを知ることです。ですので、最初のコンバージョンポイントに出来るだけ早くユーザーが到達できるよう工夫しましょう。
最初のコンバージョンポイントがユーザーの興奮に関するものである一方で、製品内の説明は使用を直感的かつシームレスにする為のものです。ただし、初心者向けのチュートリアルとは混同しないでください。初心者向けのチュートリアルも必要ですが、オンボーディングプロセス全体を通してガイダンスを提供する必要があります。
ここで重要なのは、簡潔で役に立つことです。製品が現代求められる顧客中心の概念を満たす必要がある場合は、あなたの側で多くを説明する必要はありません。ユーザーがガイダンスを必要とする場合に備え、その場で待機しましょう。あれこれと指示をしてユーザーを圧倒してはいけません。
方法は様々ですが、時間ベースのトリガーから行動ベースのトリガーに切り替えるのが、最もお勧めな方法のひとつです。どちらもトランザクションメールを送信してフィードバックを収集する為に使用されるものですが、こちらでタイミングを計る前者に対し、後者ではユーザーが特定のアクションを実行するまで待機します。
フィードバックを求めている場合でも、更なる使用の為の指示を送信する場合でも、コンテキストトリガーは最適な方法です。予測された使用スケジュールに従うのではなく、ユーザーの行動に対処します。これにより、指示が記載されたEメールがトリガーされ、ユーザーが必要とするソリューションを、ユーザーが必要とするタイミングで提供することができます。
チュートリアルやインストラクションを記載したEメールは、出来るだけライブチャットやボットに置き換えることをお勧めします。コンシェルジュによるオンボーディングの有効性と、人間との接触量を最小限に抑える「ロータッチ」慣行の有効性については、継続的な議論がなされています。真実は、ここでの最良の戦略は、ターゲットオーディエンスに最も適したものであるということです。
チャットボットを使用したオンボーディングユーザーの誘導方法には優れたものが多数あります。両者の利点を最大限に活用できるのがライブチャットです。オンボーディングとカスタマーサポートを組み合わせると、急を要さない時にはオンボーディングで対応し、即対応を要する際にはライブチャットを利用するといった臨機応変な対応が可能となります。
チャットボットが非常に効果的であるのは、製品を段階的に導入する際です。インストラクションとして製品の機能をすべてEメールに記載すると、長くて読みにくいのでやめましょう。オンボーディングの各段階ごとにEメールを送付するのもお勧めしません。会話型UIが最適な方法です。
アプリ市場を詳しくみて見ると、ユーザーオンボーディングではスワイプスルーのチュートリアルが休みなく使われていることが分かります。一般的に、ユーザーオンボーディングはユーザーがアプリと最初に接触する場所です。つまり、最初の起動時に主な機能と重要なアクションを提示する場所です。
適切に設計されたスワイプスルーチュートリアルは、オンボーディングの悪い例ではありませんが、最良の例でもありません。これらの主な欠点は、殆どのユーザーが、何をすべきかを明示的に支持されるよりも自分でアプリを検索することを好むという事実にあります。ユーザーに煙たがれずに必要なガイダンスを提供するのにぴったりな方法は、視覚化です。
可能な限り、文字による説明を画像に置き前ましょう。ユーザーがすぐに製品のコアバリューに辿り着けるよう、セルフィ―を撮影する人々の画像を使ってこれを上手く実践しているのがインスタグラムです。短いタスクとコンテキストに応じたヒントも有効です。これらは、ユーザーがまだ不慣れな機能やアクションを目の前にした際に簡潔に表示されます。
これらのアプローチは両者とも、直感的なガイダンスに依存しています。追加の支援無しでオンボーディングプロセスを完了するユーザーの能力に依存するのと同様です。こうしたアプローチにより、指示を目立たなくしてプロセスをスムーズにできます。「話すよりも見せる」「実行して学ぶ」為の手法です。
最後に、ユーザーオンボーディングはすぐに終わるものではないという事実に注意してください。ユーザーオンボーディングは、ユーザーが製品の機能の利点をくまなく探り、製品に完全に慣れ親しむまで継続されるプロセスです。
また、ユーザーオンボーディングは固定されたプロトコルでもありません。ユーザーオンボーディングに助けられる人もいれば、役に立たないと感じる人もいます。常に改善の余地があることを頭に置いておいてください。また、将来あなたの製品に新たな機能が追加されたりアップデートが行われることは確実です。その際には、ユーザーオンボーディングも変更に合わせて調整する必要があります。
パフォーマンスの追跡と定期的な確認の為の指標を設定していれば、潜在的な問題に素早く対処して成功のチャンスを確実に掴むことができます。行動ベースのトリガーを使用してフィードバックを求め、実際に考慮しましょう。結局のところ、ユーザーオンボーディングを優れたものにすることが出来るのはユーザー自身なのです。
製品の可能性を最大限に引き出すのは簡単なことではありませんが、得られるものは大きいです。ユーザーオンボーディングを有益で最高な旅(そして将来的には、最高のカスタマーエクスペリエンス)にすれば、確実に報酬を得ることができます。