自動車製造、挙式、本の執筆・・・これらを行うにあたり、最も重要なステップとは何だと思いますか?
それはずばり、プランニング(計画を立てること)です。
ホワイトボードや、付箋紙のパッドのようなシンプルなものですら、目標を達成する手助けとなります。
技術部門で働く人(または、技術者に囲まれて働く人)なら、スクラムとかアジャイルという単語を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
プランニングポーカー、スタンドアップ、スプリント等と並び、これらの単語は、技術者の間で日常的に使われているバズワードです。
初心者の方には、少し威圧的に聞こえるでしょうか。
しかし、これらのテクノロジーは限られた人々だけのものではありません。
実のところ、生産性と効率を優先するビジネスにとって、これらはマストハブなテクノロジーなのです。
ご興味は沸いてきましたか?
それでは、スクラムについてご紹介いたしましょう。
スクラムって何?
スクラムは、組織が複雑な問題を解決することに価値をもたらすフレームワークです。
つまり、チームが共同作業を行うのに役立ちます。
スクラムは、チームが経験を通して学び、タスクを行いながら自らを組織し、自らの成功と失敗をもとに改善と成長を続けるのをサポートします。
会社でスクラムを導入するのが主流となっている原因のひとつは、ここにあります。しかし、スクラムとアジャイルが同じものであると考えている人は少なくありません。
アジャイルとは、プロジェクトを複数の段階に分割し、あらゆるフェーズで参加者がコラボレーションを行い、チームが効率的にプロジェクト管理を行う為のプロセスです。
なんだ、スクラムとほぼ同じじゃないか。そうお思いですか?
アジャイルスクラムというメソッドをご説明しますので、しばし御辛抱ください。
スクラム vs アジャイル
初心者を混乱させる原因は、この名前にあるでしょう。
「スクラム」と「アジャイル」は、一般の方にとっては同じ意味のように思えますが、両者には重要な違いがあります。
わかりやすいように、食事レシピに例えてご説明いたします。
原則と価値観に基づいた方法と実践において、ビーガン食どのように構成されているかを考えてみてください。いっぽう、ベジタリアンタコスのレシピは、あなたの食事療法を実行するために使用されるフレームワークです。
つまり、アジャイルは食事であり、スクラムはレシピです。
アジャイルは、トヨタやFUJIといった日本の革新的企業が80年代に使用した技術から生まれました。作業のスピードと流れを改善すべく、彼らはカンバン手法を採用し始めました。
90年代半ば、プロジェクトの管理ミスに常に悩まされている企業を支援する方法を模索する、ジェフ・サザーランドという人物がいました。
研究の結果、彼は、これらの日本企業と彼らの用いるアジャイル方式に辿り着きました。これによりインスピレーションを得たサザーランドは、スクラムフレームワークを導入しました。
ここから、スクラムはあっという間に製品開発業界に広まっていきました。
スクラムって誰の役に立つの?
スクラムって、エンジニアとか開発者だけのものでしょ?と、そんな印象をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
実は、このフレームワークは色々なプロジェクトに利益をもたらしてくれるのです。
もちろん、スクラムが最も効果を発揮するのは具体的な製品を生産する過程においてです。しかし、あらゆる複雑なプロジェクトでも十分に活用できます。
たとえば、マーケティング部門で働いている人が、プロジェクトのコピーを作成する必要がある際、スクラムはチームに大きな利益をもたらします。
ソフトウェアであれメールキャンペーンであれ、製品制作の際にはいつでも、スクラムはチームを編成し、より少ない時間でより多くの作業を行う手助けとなってくれます。
スクラムについてご紹介いたしましたところで、今度はあなたの会社でのスクラムについて真剣に考えてみましょう。
この手法は必要でしょうか?この手法によって、製品を改善できるでしょうか?組織との相性は良いでしょうか?
ここで、鍵となるポイントをいくつかご説明いたします。
アジャイルスクラム手法は、スプリントをベースとするプロジェクト管理システムであり、利害関係者に最適な価値を提供することを目的としています。
スプリントは、チームがバックログ(あるいは一連のタスク)からタスクを完了するための所定の時間枠を意味します。
アジャイルスクラム手法の注目すべき特徴は、その柔軟性です。
これにより、各スプリントの終了後、チームは利害関係者からフィードバックを受け取ることができます。
プロジェクトに何らかの問題や変更が生じた際には、より多くの価値をもたらすよう、スクラムチームは簡単かつ迅速に調整を行うことができます。
すべてのステップに関与することで、利害関係者は製品に必要なものを正確に入手することができます。
いっぽう、利害関係者が頻繁にフィードバックを提供しない従来型のプロジェクト管理システムではどうでしょうか。開発の途中で製品に変更を加える際には、時間を浪費する可能性があります。
さらにまずいケースでは、製品が既に生産された後に、チームがスクエア1に戻らなければならないなんてこともありえます。
スクラムの実装に必要な基礎をみてまいりましょう。
まずは、エンドユーザー最大の関心事を代表し、最終製品がどうなるかについて、すべての発言権を持つプロダクトオーナーから始まります。
プロダクトオーナーは、最終製品に必要なタスクと、要件のリストであるバックログ作成の担当者でもあります。
そして、スプリントの出番です。
上記のように、スプリントは事前に決定された時間枠です。つまり、チームがバックログから一連のタスクを完了する期限です。
スクラムチームは、デイリースクラムで毎日進捗報告を行います。これは「デイリースタンドアップ」と呼ばれます。
各スプリントはレビューで終わります。レビューでは、チームは自分達の仕事を振り返り、次のスプリントに向けた改善点を話し合います。
これらすべての頂点に、スクラムマスターが存在します。スクラムマスターは、スクラム開発のプロセスを促進します。
スクラムチームを指導し、彼らのモチベーションを高めるとともに、スクラムマスターはスクラムルールが意図した通りに実施/適用されているかどうかを確認します。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、スクラムを使い始めるのに特別な機材やトレーニングは一切必要ありません。
最も難しい点はおそらく、用語を学び、スクラムを機能させるルールとガイドラインを厳守することでしょう。
あなたのスクラムチームを結成するご準備は整いましたか?
1.フレームワークの、見慣れない重要なフレーズや役割を知りましょう
スクラム公式ガイドのPDF版をダウンロードし、通勤中や昼休み中に読みましょう。
上記のように、必要なのはプロダクトオーナー、スクラムマスター、チームメンバーです。チームメンバーにスクラムについて説明する必要もあります。
プロのヒント:緊密で同じ場所に配置されていて、チームメンバー数は5~7名が最も効果的なスクラムチームです。彼らは異なるスキルを持っており、互いにスキルをトレーニングし合ってもいますので、誰も仕事のボトルネックになることはありません。
3.製品のバックログを作成しましょう
これは、主にプロダクトオーナーの仕事です。バックログは、プロジェクトに必要なものすべてが載ったリストです。
バックログには終わりがありません。各タスクまたはプロジェクトが形を帯び、新たなニーズが発生するのに合わせて、バックログを継続的に更新することになります。
4.スプリントを計画しましょう
最初のスプリントで、完了したいタスクをバックログから選びましょう。スプリントを計画する際に、スプリントに組み込むタスクと担当者をチームで決定します。
5.スプリントの仕事に取り掛かりましょう!
スクラムチームの各メンバーが、それぞれ自分のタスクに取り組み始めます。進捗状況のデイリーチェックインも、デイリースクラムミーティングを通して行われます。
7.プロセスをレビューしましょう
これは、レトロスペクティブと呼ばれるミーティングです。業務プロセスが実際にどう進行したかを振り返り、作業を改善するための計画を練り、次回に向けて準備を整えます。
8. すべてのステップを透明化しましょう
スクラムの実装は、長い旅のようなものです。チームを去る人がいれば、途中から加わる人もいます。その為、チームメンバー全員にロードマップの全容を提示し、目標、成果、次のステップについて綿密なコミュニケーションを行うことが大切です。
9.枠を超えて考えましょう
他の人に有効なヒントやプランが、あなたにも有効であるとは限りません。類似するケースを探し、スクラムに使い慣れた人の話を参考にしましょう。しかし、彼らの提案や意見に盲目的に従うのではなく、それらがあなたの状況に最適であるかどうか、実験を行いましょう。
スクラムの実装が当初の計画とは異なる方向に向かったとしても、何の問題もありません!それら複雑な変化は、あなたとチームが前進しながら独自の問題や解決策を見出す可能性を意味します。何か新しいものを見つけたら、しっかりと調べて適応させましょう。